放物線の移動
この教材は高校数学の基本問題中の放物線の移動という項目のバックアップ・コピーです.
【単元の目次】
《数学Ⅰ》
数と式根号計算場合の数.順列.組合せ2次不等式2次関数
【単元内の項目の目次】
2次関数のグラフ(例題対比)2次関数の頂点の座標放物線の頂点の座標(標準形)
平行完成の変形1平行完成の変形2平行完成の変形3
2次関数の平行移動放物線の移動3点の座標→2次関数の形
2次関数の最大値・最小値(区間が指定されていないとき)2次関数の最大値・最小値(区間が固定されているとき1)2次関数の最大値・最小値(区間が固定されているとき2)2次関数の最大値・最小値(区間が変わるとき)2次関数の最大値・最小値(条件付など)2次関数のグラフと係数の符号
2次関数のセンター試験問題(2013~)2次関数の入試問題
放物線の移動
《解説》
■ 原理的には,グラフの移動は,グラフ上の各点の移動をもとにして考えます.すなわち,グラフ上の各点を移動してできる新しい点を結んだものが新しいグラフです.
 しかし,高校数学Iの2次関数の移動では,座標変換をもとにして数式変形で求めるのでなく,放物線の頂点の移動をもとにして,移動した放物線の方程式を求める方が楽です.(「楽」というのは,必ずしも手抜きということではなく,「簡単で見やすいから,間違いも少ない」という意味に理解してください.)
 次の表は,移動したグラフの方程式を求めるための座標変換による方法と頂点の移動をもとに考える方法を比較したものです.
移動の種類
座標変換による方法
頂点の移動をもとに考える方法
(=数学Iでお勧めの方法)
■ 平行移動
y=f(x)のグラフをx軸の正の方向にp, y軸の正の方向にqだけ平行移動してできるグラフの方程式:
 もとのグラフ上の点を(X, Y),移動してできる点を(x, y)とおくと
 Y=f(X)・・・(1)
 x=X+p・・・(2)
 y=Y+q・・・(3)
(2)(3)よりX=x−p, Y=y−qを(1)に代入すると
 y−q=f(x−p)


y=ax2+bx+cのグラフをx軸方向にpy軸方向にqだけ平行移動してできるグラフの方程式は
y−q=a(x−p)2+b(x−p)+c

y=a(x−m)2+nのグラフをx軸方向にp, y軸方向にqだけ平行移動してできるグラフの方程式は
y−q=a(x−m−p)2+n
• グラフの形は変わらない.
• もとのグラフの頂点が(m, n)のとき,これをy軸の正の方向にqだけ平行移動しでできるグラフの頂点は(m+p, n+q)にある.



 y=2(x−3)2+4のグラフをx軸方向に5, y軸方向に6だけ平行移動したグラフの方程式は
頂点が(3, 4)→(8, 10)
だからy=2(x−8)2+10
■y軸に平行な直線に関する線対称移動
Y=f(X)のグラフをx=sの直線に関して対称移動してできるグラフの方程式:
 Y=f(X)・・・(1)
 (x+X)/2=s・・・(2)
 y=Y・・・(3)
(2)(3)よりX=2s−x, Y=yを(1)に代入すると
y=f(2s−x)

y=ax2+bx+cのグラフをx=sの直線に関して対称移動してできるグラフの方程式は
y=a(2s−x)2+b(2s−x)+c

y=a(x−m)2+nのグラフをx=sの直線に関して対称移動してできるグラフの方程式は
y=a(2s−x−m)2+n
• グラフの形は変わらない.
• もとのグラフの頂点が(m, n)のとき,これをx=sの直線に関して対称移動してできるグラフの頂点は(2s−m, n)にある.



 y=2(x−3)2+4のグラフをx=5の直線に関して対称移動してできるグラフの方程式は
 頂点が(3, 4)→(7, 4)
だからy=2(x−7)2+4
■x軸に平行な直線に関する線対称移動
Y=f(X)のグラフをy=tの直線に関して対称移動してできるグラフの方程式:
 もとのグラフ上の点を(X, Y),移動してできる点を(x, y)とおくと
 Y=f(X)・・・(1)
 x=X・・・(2)
 (y+Y)/2=t・・・(3)
(2)(3)よりX=x, Y=2t−yを(1)に代入すると
 2t−y=f(x)

y=ax2+bx+cのグラフをy=tの直線に関して対称移動してできるグラフの方程式は
2t−y=ax2+bx+c

y=a(x−m)2+nのグラフをy=tの直線に関して対称移動してできるグラフの方程式は
2t−y=a(x−m)2+n
• グラフの形は上下が逆になる.
• もとのグラフの頂点が(m, n)のとき,これをy=tの直線に関して対称移動してできるグラフの頂点は
(m, 2t−n)にある.



 y=2(x−3)2+4のグラフをy=6の直線に関して対称移動してできるグラフの方程式は
頂点が(3, 4)→(3, 8)
だからy=−2(x−3)2+8
■点(s,t)に関する点対称移動
Y=f(X)のグラフを点(s, t)に関して対称移動してできるグラフの方程式:
 もとのグラフ上の点を(X, Y),移動してできる点を(x, y)とおくと
 Y=f(X)・・・(1)
 (x+X)/2=s・・・(2)
 (y+Y)/2=t・・・(3)
(2)(3)よりX=2x−x, Y=2t−yを(1)に代入すると
 2t−y=f(2s−x)
• グラフの形は上下が逆になる.
• もとのグラフの頂点が(m, n)のとき,これを点(s, t)に関して対称移動してできるグラフの頂点は(2s−m, 2t−n)にある.



 y=2(x−3)2+4のグラフを点(5, 6)に関して対称移動してできるグラフの方程式は
頂点が(3, 4)→(7, 8)
だからy=−2(x−7)2+8
《要点》

放物線の平行移動,線対称移動,点対称移動は,頂点の動きを考える.


《問題1》 次の各問いに答えなさい.答案は半角で記入するものとし,係数が0,1,-1に等しいときは,それぞれ0,1,-1としなさい.

 2次関数y=−(x−1)2+3のグラフをx軸方向に2y軸方向に−4だけ平行移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()


 2次関数y=x+2x+3のグラフをx軸方向に3,y軸方向に-1だけ平行移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()


 2次関数y=2(x-3)-1のグラフをx=2の直線に関して対称移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()


 2次関数y=2x-8x+1のグラフをx=-1の直線に関して対称移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()


 2次関数y=3(x-4)-1のグラフをy=3の直線に関して対称移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()

6
 2次関数y=2x-8x+1のグラフをy=-3の直線に関して対称移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()


 2次関数y=3(x+4)-1のグラフを点(0,3)に関して対称移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()


 2次関数y=2x-12x+15のグラフを点(2,0)に関して対称移動してできるグラフの方程式を求めなさい.
y=+()x+()

《問題2》 次の空欄に適当な数を埋めなさい.答案は半角で記入するものとし,係数が0,1,-1に等しいときは,それぞれ0,1,-1としなさい.

 2次関数y=2x-4x+5のグラフをx軸方向に[ ア ],y軸方向に[ イ ]だけ平行移動し,さらにそれをx軸に関して対称移動すると,y=-2x+12x-20となる.
ア=
イ=

 2次関数y=-x+4x-3のグラフをy軸に関して対称移動し,さらにそれを点(ウ,エ)に関して対称移動すると,y=x-4x+9となる.
ウ=
エ=

 2次関数y=[オ]x+[カ]x+[キ]のグラフを原点に関して対称移動し,さらにそれをx軸方向に3,y軸方向に-1だけ平行移動すると,y=2x-8x+9となる.
オ=
カ=
キ=

 2次関数y=ax+bx+cのグラフを点(3,4)に関して対称移動し,さらにそれを点(-2,1)に関して対称移動したグラフは,もとのグラフをx軸方向に[ ク ],y軸方向に[ ケ ]だけ平行移動したものと一致する.
ク=
ケ=

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