2次関数のグラフ(数学Ⅰ/教科書レベル/楽しいワーク)
【単元の目次】
《数学Ⅰ》
数と式根号計算場合の数.順列.組合せ2次不等式2次関数
【単元内の項目の目次】    が現在地
2次関数のグラフ(初歩,入門)2次関数のグラフ(例題対比)2次関数の頂点の座標放物線の頂点の座標(標準形)平行完成の変形1平行完成の変形2平行完成の変形32次関数の平行移動放物線の移動3点の座標→2次関数の形2次関数の最大値・最小値(区間が指定されていないとき)2次関数の最大値・最小値(区間が固定されているとき1)2次関数の最大値・最小値(区間が固定されているとき2)2次関数の最大値・最小値(区間が変わるとき)2次関数の最大値・最小値(条件付など)2次関数のグラフと係数の符号2次関数のセンター試験問題(2013~)2次関数の入試問題

♪♥ この教材は,高校数学の基本問題のうち,の「マイナーチェンジありカバー版」「パソコン用」ページです.
♫♣ 元の教材が通信トラブルなどで読めないときに,こちらを使ってください.なお,学習の記録は付いていません.
==2次関数のグラフ==
~教科書入門レベル/楽しいワーク~
《1》 2次関数 y=ax2のグラフの描き方
y=ax2のグラフは中学校3年生で習います.高校では,その復習は5分程度で済ませることが多いでしょう.
y=a(x−p)2+qのグラフのうちで,p=0, q=0の場合,すなわちy=ax2のグラフだけは中学校で習います.
p≠0の場合やq≠0の場合は,高校数学Ⅰで習います.
a=1の場合,y=x2のグラフを描くには,次の例のように「対応表」(x座標とy座標の対応を表す表)というものを作り,これに従って「(x, y)座標の点●」を描き,それらを「滑らかなめらかに結んで」グラフにします.
x−2−1012
y41014
• 対応表に使う座標の目盛りは,次の例のように「細かくすることはできます」が,「手書きで描く以上は,あまり細かく刻んでも」作業量の多さに見合う精度が期待できません.
x−2−1.5−1−0.500.511.52
y42.2510.2500.2512.254
⇒ 次図の●を結ぶ程度でよい.
• 「点を定規で結んで」折れ線グラフのようにすることは「やってはいけない」(角のある折れ線とは違うから!!)
• 手書きで描けるグラフには限度はありますが,半円でもな

く,キャベツ形・金魚鉢形でもない,縄文式土器のような

独特の雰囲気を覚えてもらうのが一番良い.
y=x2

【重要語句】
• 2次関数y=ax2のグラフは,放物線と呼ばれる曲線になる.
 この形は,野球のボールなどの「物を投げたときにできる曲線」になっている
• 放物線は左右対称なグラフになっている.この対称軸を放物線のという.
 y=ax2のグラフの対称軸は,y軸(x=0の直線)である.
(証明)
ある点(x, y)が,曲線y=f(x)=ax2上にあるとき,f(−x)=a(−x)2=ax2が成り立つから,点(−x, y)も曲線y=f(x)=ax2上にある.したがって,この曲線はy軸に関して対称である.
• 放物線と軸との交点を頂点という.
 y=ax2のグラフの頂点は,原点(0, 0)である.
 頂点と言っても,三角形の頂点のようなかどがあるわけではない.山の頂上のようなものになっている.
• 図1のようなy=ax2 (a>0)のグラフは,いわゆる谷形,すなわち,下にふくらんでいます.このようなグラフは「下に凸したにとつ」であると言います.(下記の問題1-1,問題1-2参照)
 図2のようなy=ax2 (a<0)のグラフは,いわゆる山形,すなわち,上にふくらんでいます.このようなグラフは「上に凸うえにとつ」であると言います.(下記の問題1-3,問題1-4参照)
 凹レンズと凸レンズの凹凸が逆であるように,「上に凸」ということは「下に凹」と同じでないのか,「下に凸」ということは「上に凹」というのと同じでないのか,と考える生徒がいるかもしれません.理屈の上では,それらは同じことを表していますが,実際に,風船が外向きにふくらんでいる(外に凸)ということは言っても,内向きに凹んでいる(内に凹)とはいわない.このように「・・・に凸」といえることを「(その逆向き)に凹」と言い直すことは,まずありません.
 高校数学Ⅱ,Ⅲで「グラフの凹凸を調べよ」という言い方はあるが,その場合でも「上に凸」「下に凸」と答えるのが基本で,「上に凹」「下に凹」などという答案は,教科書でも参考書でも,見たことがない.・・・凸だけで話ができるので,凹に言い換えるメリットが感じられない.
• 2次関数y=ax2のグラフについて,
 a>0のとき,頂点の左側で減少,頂点の右側で増加になっている.
 a<0のとき,頂点の左側で増加,頂点の右側で減少になっている.
楽しく復習
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問題1-1 2次関数 y=2x2のグラフを描いてください
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問題1-2 2次関数 y=3x2のグラフを描いてください
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問題1-3 2次関数 y=−x2のグラフを描いてください
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問題1-4 2次関数 のグラフを描いてください
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《2》 2次関数 y=ax2+qのグラフの描き方
• 例えば,y=2x2y=2x2+1の対応表を並べて書くと,次のように同じxの値に対して,2x2+1の値は,2x2の値よりも1だけ大きな値になります.
x−2−1012
2x282028
2x2+193139
• したがって,y=2x2+1のグラフは,y=2x2のグラフをy軸の正の方向に1だけ平行移動したものになります.
• 一般に,y=ax2+qのグラフは,y=ax2のグラフをy軸の方向にqだけ平行移動したものになります.
《2次関数y=ax2+qのグラフ》
y=ax2のグラフをy軸の方向にqだけ平行移動した放物線になる
• 頂点の座標は(0, q),(放物線の対称)軸はy軸に一致する
• 数学用語で「1だけ平行移動」というときの"だけ"の意味は,日常用語で「お小遣いは100円だけか」という言い方とは全く違うことに注意.「お小遣いは100円だけ」という場合の"だけ"は限定の意味があり,100円では少ないという気分が入っています.これに対して,数学用語で「1だけ」という場合は「ちょうど1」「1に等しい」という意味です.
• 方向か向きか
 直線を指定したら方向は決まるが,向きは「あっち向き」「こっち向き」の2つある.だから「y軸の方向に」といっても,上向きか下向きかまでは決まらない.
 これに対して,「y軸の正の向きに」と言えば上向きで,その逆向きは下向きになる.
 このように,方向と向きという用語があるが,ほとんどの教科書は「y軸の方向に3だけ移動」「y軸の方向に−2だけ移動」というように,方向と符号付き数字の組合せで書かれているので,この教材もそれに合わせた・・・向きで表す場合には「y軸の正の向きに3だけ移動」「y軸の負の向きに2だけ移動」などとなる.

問題2-1 2次関数y=x2+3のグラフを描いてください
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問題2-2 2次関数y=2x2−4のグラフを描いてください
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問題2-3 2次関数y=−x2+5のグラフを描いてください
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問題2-4 2次関数のグラフを描いてください
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《3》 2次関数 y=a(x−p)2のグラフの描き方
• 例えば,y=x2y=(x−1)2の対応表を並べて書くと,y=(x−1)2yの値は,1つ左のy=x2yの値になっています.
x−2−1012
y=x241014
y=(x−1)294101
• したがって,y=(x−1)2のグラフは,y=x2のグラフをx軸の正の方向に1だけ平行移動したものになります.
• 一般に,y=a(x−p)2のグラフは,y=ax2のグラフをx軸の方向にpだけ平行移動したものになります.
《2次関数y=a(x−p)2のグラフ》
y=ax2のグラフをx軸の方向にpだけ平行移動した放物線になる
• 頂点の座標は(p, 0),(放物線の対称)軸はx=pの直線になる

問題3-1 2次関数y=2(x−3)2のグラフを描いてください
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問題3-2 2次関数y=(x+2)2のグラフを描いてください
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問題3-3 2次関数y=−(x−2)2のグラフを描いてください
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問題3-4 2次関数のグラフを描いてください
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《4》 2次関数 y=a(x−p)2+qのグラフの描き方
 ここまで学んできた内容を使って,y=ax2のグラフからスタートして,そのグラフをx軸方向,y軸方向に平行移動して,求めるグラフを作ります.
• 例えば,y=2(x−3)2+1のグラフを描くには
(1) はじめに,y=2x2のグラフを描く(下図の黒線)
(2) 次に,(1)で描いたグラフをx軸方向(右方向)に3だけ平行移動して,y=2(x−3)2のグラフを描く(下図の緑線)
(3) 最後に,(2)で描いたグラフをy軸方向(上方向)に1だけ平行移動すると,y=2(x−1)2+1のグラフができる(下図の赤線)
 (1)→(2)→(3)の平行移動を考えるとき,頂点など幾つかの目印となる点を移動させてから,それらを滑らかな線で結ぶとよい・・・『点の移動を手がかりにして,グラフの移動を考える』のが秘訣
(別解)
 はじめから,y=2(x−3)2+1の対応表を作ってもよい(ただし,頂点の座標(3, 1)は必ず入れる)
x12345
y=2(x−3)2+195159
• 一般に,y=a(x−p)2+qのグラフは,y=ax2のグラフをx軸の方向にpy軸の方向にqだけ平行移動したものになります.
《2次関数y=a(x−p)2+qのグラフ》
y=ax2のグラフをx軸の方向にpy軸の方向にqだけ平行移動した放物線になる
• 頂点の座標は(p, q),(放物線の対称)軸はx=pの直線になる
x軸の方向にpy軸の方向にqだけ平行移動したときに,
  y=a(x−p)2+q・・・(A)
という形で,qだけ符号がそのままで,pの符号がマイナスになるのは「qだけ楽してずるい!」じゃないか#
話せば長くなりますが・・・
y=ax2のグラフ上の点(X, Y)(旧座標)をx軸の方向にpy軸の方向にqだけ平行移動したら,y=a(x−p)2+q上の点(x, y)(新座標)になるとすると
旧座標の方程式 Y=aX2
新旧の関係式
x=X+p
y=Y+q
X=x−p
Y=y−q

上記の関係式を使って,旧座標(X, Y)を消去して,新座標(x, y)の方程式に直すと
新座標の方程式 y−q=a(x−p)2・・・(B)
 (B)の形で描けば,x−py−qになって,両方ともマイナスになる.qだけが「よい子になって」「楽をして」「ずるい」訳ではない.
 しかし,関数の形は,y=···の形で書く方が見やすい,という習慣にしたがって,qを右辺に移項すると(A)の形になります.
 要するに,qだけが「楽をして」「ずるい」ように見えるのは,習慣に従って「移項するから」です.


問題4-1 2次関数y=(x−2)2+3のグラフを描き,頂点の座標と軸の方程式を答えてください
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問題4-2 2次関数y=2(x+1)2−4のグラフを描き,頂点の座標と軸の方程式を答えてください
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問題4-3 2次関数y=−2(x−3)2+4のグラフを描き,頂点の座標と軸の方程式を答えてください
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問題4-4 2次関数のグラフを描き,頂点の座標と軸の方程式を答えてください
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